宮本浩次(エレファントカシマシ)がTBSの報道番組「news23」のエンディングテーマ「close your eyes」を書き下ろした。
9月17日の朝日新聞がスクープした、安倍元首相と旧統一教会会長らの会合写真。自民党本部の総裁応接室で撮影されたこの写真について、「韓国で生まれた宗教団体が、日本の政治に裏側から深く浸透し、秘書派遣や選挙への協力という形で、政権党をがんじがらめにして支配しようとした“証拠写真”」とするのは元全国紙社会部記者の新 恭氏だ。旧統一教会は「“エバ国家”の日本は“アダム国家”の韓国に奉仕しなければならない」という歪んだ教義を持つ。では、そんな旧統一教会の顔色ばかりをうかがってきた自民党とは、いったい誰のための政党なのだろうか?(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)※本記事のタイトル・見出し・動画紹介はMAG2NEWS編集部によるものです/原題:統制された自民党総裁選。統一教会については箝口令
自民党総裁選中の決定的な“統一教会バレ”
自民党と統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係をこれ以上、端的かつ象徴的に示すものはないだろう。9月17日の朝日新聞。一面、二面にわたってでかでかと掲載された3枚の写真のことだ。
参議院選挙直前の2013年6月30日。自民党本部の総裁応接室。当時の首相、安倍晋三氏を、統一教会の徳野英治会長、国際勝共連合の太田洪量会長、全国祝福家庭総連合会の宋龍天総会長らが取り囲んで資料を手に、何やら話し合っている。
この会合について、記者は複数の関係者を取材し次
...moreのような証言を得たという。
「4日後に公示を控えた参院選で、自民党比例区候補の北村経夫・現参院議員を教団側が全国組織を生かして支援することを確認する場だった」
北村氏が所属する派閥は最も統一教会とのかかわりが深い安倍派(清和会)だ。この頃、統一教会は全国の信者に以下のような内部通達を出している。
「全国区の北村さんは、山口出身の政治家。・・・首相からじきじきにこの方を後援してほしいとの依頼があり・・・参院選後に当グループを国会で追及する運動が起こるとの情報があり・・・今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」
安倍首相が統一教会へじきじきに北村氏への応援を依頼してきたこと、統一教会が国会で追及される恐れがあるので、それを防ぐためにも北村氏を当選させる必要があると教団が考えていたことを示す文面だ。
韓国発祥のカルト宗教団体と自民党の異常な共犯関係
歴代の総理・総裁の肖像をバックに8人の人物が並んだ記念撮影風の一枚には、安倍首相、統一教会幹部のほか、自民党総裁特別補佐だった萩生田光一氏や、安倍氏の実弟、岸信夫氏の姿もある。
安倍氏側近の萩生田氏と教団の深い関係についてはよく知られている。岸氏も、統一教会の会員から選挙運動の手伝いを受けていたと自ら認めている。岸氏と安倍氏の祖父、岸信介氏がその昔、統一教会の開祖、文鮮明氏と知り合い、反共主義の政治団体「勝共連合」の結成に関わったことも歴史的事実である。
岸信介氏といえば、保守合同で自民党が結党されたさいの幹事長だ。その後、首相となり、60年安保を乗り切った。政界引退後も統一教会と連携して自主憲法制定運動やスパイ防止法制定運動に関わり、「昭和の妖怪」とあだ名された。自民党最大派閥の安倍派が岸信介氏の流れをくむ派閥であるのはいうまでもない。
すなわち、自民党史の一断面を画像として凝縮したともいえるのが、これらの写真だ。韓国で生まれた宗教団体が、日本の政治に裏側から深く浸透し、秘書派遣や選挙への協力という形で、政権党をがんじがらめにして支配しようとした“証拠写真”でもある。
統一教会シンパの櫻井よしこと産経論説委員は自民党をどう擁護したか
だが、総裁選のさなかに朝日新聞がこの写真を公開したことについて、保守論壇のなかから不信の声が上がっている。以下は、言論テレビチャンネル「櫻LIVE」での櫻井よしこ氏らの発言である。
「写真の提供を受けたのは今年の1月はじめだが、今になってこれを出している。・・・これつまり自民党潰し、安倍派潰し、萩生田潰しということがあったのかなと思うが・・・」(櫻井よしこ氏)
「自民党総裁選のさなかということもポイントですね。高市さんも含め、安倍さんに近いことをアピールしている人を潰したいという意図も感じられる」(産経新聞論説委員、阿比留瑠比氏)
そんな声が出るのを予測したのかどうか、この記事の取材・執筆にあたった朝日の沢伸也・編集委員は、同紙のYouTubeチャンネルで、わざわざ取材の苦労を次のように説明している。
「写真は朝日新聞デジタルの“こちら調査報道班”を通じて送られてきた。写真一枚から日付、場所、何を話し合ったかをどうやってつめていくか。調査報道は20年やっているが、ここまで難しいのは初めて。まずは安倍首相が胸につけていたバッジや新聞の首相動静などから時期を特定し、会話内容については半年かけて、複数の人々から証言を得た」
つまり、総裁選にこの記事をぶつけたのではなく、取材に時間がかかったため、結果としてこの時期の掲載になったということのようだ。
むろん、自民党本部はそうは受け取らないだろう。党の再生を高々と掲げて「総裁選ショー」を繰り広げる自民党にとって、「教団との組織的な関係はない」というこれまでの説明を突き崩す朝日の記事の衝撃は間違いなく大きい。
昔も今も統一教会に頭が上がらぬ自民党、総裁選候補者は全員だんまり
総裁選の候補者たちの反応がすべてを物語っていた。全国霊感商法対策弁護士連絡会が統一教会との関係や再調査について候補者9人に「公開質問」をしたところ、9人全員が回答せず、小泉進次郎氏だけは「党からの通達により回答を見送らせていただきます」と回答拒否の理由を記したファクスを送ってきたという。どうやら自民党本部は総裁選候補者たちに“箝口令”を敷いているようなのだ。
17日夜のTBS系「news23」で放映された総裁選候補者討論会で小川彩佳キャスターが「総裁になったら教団との関係について再調査を行うか」と質問し挙手を求めたが、誰も手を挙げることはなかった。これも、自民党本部の指示があったためと思われる。
こうした、自民党の姿勢に対し、同連絡会の紀藤正樹弁護士は「海外発の団体による政治への浸透の問題について議論すべきではないか」と厳しく指摘した。
1980年代から90年代にかけ、統一教会は合同結婚式や霊感商法の問題でテレビ番組に取り上げられるようになったが、一方で開祖、文鮮明氏は「国際勝共連合」などの関連団体を通じて、日本政界に「統一原理」にもとづく政策を浸透させていった。
長年にわたり統一教会を取材している鈴木エイト氏によれば、文鮮明氏は「まず秘書として食い込め。食い込んだら議員の秘密を握れ。次に自らが議員になれ」と教会幹部に指示、秘書養成所で訓練された信者が自民党国会議員のもとに送り込まれ、秘書や運動員として活動してきたという。
日本は戦前の侵略の罪を清算すべきだと主張する韓国発祥の統一教会が、選挙協力を餌にこの国の政治に介入し、日本国民から霊感商法や寄付名目で巨額のカネをむしり取って、せっせと韓国に送金してきたのだ。
党のトップをめざすのなら、これまで党がろくに調査もせず、真摯な反省を表明してこなかったことについて、候補者たちは自分の考えを明確にするべきであろう。それすらせず、党の再生を唱えても、統一教会をめぐる疑惑は永遠に払拭できない。
一般国民が外国の宗教団体から「日本を取り戻す」には?
立憲民主党は23日、新しい代表に野田佳彦氏を選んだ。
野田氏は統一教会問題の再調査に消極的な総裁選候補者たちの姿勢を「全部『臭い物にふた』で、誰も再調査しようとしない。これで信頼を取り戻せるとは思えない」と批判し、今後、さらに追及を強めていく姿勢をのぞかせている。
統一教会についてひと言もしゃべらないようにと党本部から候補者にお達しが出ている自民党の総裁選。それを素直に受け入れて黙り込む候補者たち。「自由闊達な論議」という看板はどこにいったのか。
党の「再生」とか「刷新」とか、実態を離れてお題目だけが独り歩きし、とどのつまり、選ばれるのは「ムラの掟」を守る古い自民党の継承者ということになるとしたら、あまりにもお粗末ではないか。
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