知床観光船沈没事故 飽和潜水で捜索へ
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国立国会図書館(東京都千代田区)絶版などの理由で入手困難になった資料など約153万点を、パソコンやスマホで閲覧できるようにするサービスを国立国会図書館が5月19日からスタートする。同館の発表によると、図書館に来館しなくても利用可能なデジタル資料へのニーズがコロナ禍で高まり、著作権法が改正された結果だという。対象となるのは、国立国会図書館が所蔵し、絶版などの理由で入手が困難であると確認された約153万点の資料だ。利用者登録した人は、「国立国会図書館デジタルコレクション」のサイトで19日から閲覧できる。2023年1月からは印刷も可能になる予定だ。検索欄の下にある「図書館・個人送信資料」のチェックボックスをクリックすることで、資料の検索ができる。この約153万点の資料は、これまで閲覧できる場所が全国の公共図書館、大学図書館などに限られていた。NHKニュースによると、国立国会図書館サービス企画課の福林靖博課長補佐は「国会図書館でしか得られない情報を手軽に利用するきっかけにしてほしい」と話しているという。【関連記事】図書館の本に付箋を貼ったらこんなことに。神奈川県立図書館が「恐怖の写真」で訴えコロナ禍で「20年ぶりの海」も。大洗の「砂浜図書館」、ビーチに縁がない人の心を掴む図書館が“民主主義”と“生命”を守る最後の砦に。『パブリック 図書館の奇跡』が問う公共のあり方とは...クリックして全文
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既に開始から3ヶ月が経とうとしている、ロシアによるウクライナ侵攻。短期決戦での勝利を目論んでいたとされるプーチン大統領ですが、2月に投入した地上戦力の3分の1を失ったという情報も伝えられるなど、想定外の苦戦が続いています。何がこのような事態を招いてしまったのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、プーチン大統領が軍事作戦以前に犯していた失敗と、見誤っていた3つの事実を解説。さらにこの戦争の出口を見えなくしている「真犯人」について、独自の考察を記しています。
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泥沼のウクライナ戦争に出口はあるのか?/プーチンとバイデンそれぞれの誤算の重なり合い
ウクライナ戦争は完全に泥沼状態に陥り、当事者同士はもちろん、周りの誰も、落とし所を見出して停戦に導くことができずにいる。このままでは徒に戦闘が長期化し、無駄な殺戮が繰り返されていくことになりかねない。
事前の「情報戦」で失敗していたプーチン
推測するに、プーチン露大統領は当初、ドンバス地方のロシア系住民をキエフ側による虐殺から救済し、ドネツクとルガンスクの2つの共和国のウクライナからの独立を確保するという限定された目標のための作戦を考えていて、それを2月24日の演説(本誌No.1143《資料2》)で「特別な軍事作戦」と呼んでいたのだろう
...more。演説で彼が「その目的は、8年間、ウクライナ政府によって虐げられ、ジェノサイドにさらされてきた人々を保護することだ。そしてそのために、私たちはウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指していく。また、ロシア国民を含む民間人に対し、数多くの血生臭い犯罪を犯してきた者たちを裁判にかけるつもりだ」「ただ、私たちの計画にウクライナ領土の占領は入っていない」と述べていることがそれを裏付ける。
しかし、軍事戦以前に情報戦の失敗があって、第1に、ここで彼は「8年間」としか言っていないが、それが2014年9月に合意された「ミンスク停戦議定書」(およびその破綻後に仏独が仲介して15年2月に成った同「議定書2」)をキエフ政府が実行するのをロシアは8年間も我慢強く待ったのだ!という意味であることを、国際社会はほとんど知らない。
第2に、何をどう待ったのかと言うと、2014年2月に親欧米派の武装クーデターで親露派の大統領が追われた直後、プーチンはクリミアとその突端セバストーポリの軍港を確保するため電撃的な作戦を実施、ウクライナ国内の自治共和国だったクリミアと同じく特別市だったセバストーポリで住民投票に基づく独立宣言を出させるという手続きを経てロシアに併合した。同じ時期、ドネツク・ルガンスク両州でも多数を占めるロシア系住民を背景に親露派勢力が同様の手続きでロシアに編入されることを要望したが、プーチンはそれを認めず、その代わりにウクライナ国内で高度の自治権を持つ自治共和国の地位を保障するようキエフに求めたミンスク議定書の路線を敷いた。プーチンが両州の自治が尊重されることをあくまで希望し続けたという事実を、国際社会はほとんど知らない。
第3に、その間に、プーチンが主張するように、両州のロシア系住民に対してキエフ側からも「ジェノサイドにさらされてきた」のだとすれば、両州とロシアはそのこと自体を事実を以て広く世界にアピールし、国連、OSCE、国際人権団体等を通じて解決を図るべきだったろうが、そうした努力は何ら行われた気配がない。
このため、「軍事作戦に訴えたくないので8年間も我慢したんだ」というプーチンの思いは世界のほとんど理解するところとならなかった。
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「短期決戦」のつもりがそうは行かず?
以上のような限定的な目標であれば短期決戦で決着可能というつもりだったかもしれないが、そうは行かなかった。
1つには、ウクライナ軍は思ったより頑強だった。プーチンにはクリミア併合の際の成功体験があって、14年当時クリミアにはウクライナ正規軍2万3,000人の部隊が駐留していたが、ロシアの覆面特殊部隊の迅速な行動になす術もなく、ロシア側の「身の処し方を選んでよい」との呼びかけに応えて3,000人がウクライナ本国に戻り、残り2万人は現地除隊してロシア軍へ編入されたり、クリミアで生活の道を見つけることを望んだ。プーチンが今回、2月24日の演説でウクライナ軍人へ向かって「〔キエフの〕ネオナチ権力の犯罪的な命令に従わず、直ちに武器を置き、家に帰るよう」呼び掛けたのは、同じことがまた起きると思ったからだろうが、この8年間にウクライナ軍は米国やNATOの訓練を受け武器を供与されてそれなりに“成長”していたのだろう。軍が部隊ごと崩壊するような事態は起こらなかった。
2つには、「アゾフ大隊」をはじめ国際的な戦争浪人集団とも繋がる民兵の存在がある。アゾフ大隊は、フランスの文明批評家エマニュエル・トッドが『文藝春秋』5月号の巻頭論文でも触れていたように、「マリウポリの街が“見せしめ”のように攻撃されているのは……アゾフ海に面した戦略的要衝というだけでなく、ネオナチの極右勢力『アゾフ大隊』の発祥地だから。プーチンの言う『非ナチ化』は、このアゾフ大隊を叩き潰すという意味」である。単に発祥地というだけでなく今もその中心拠点で、実際、この数週間、マリウポリの状況について説明するためNHKニュースに出てくるのは決まってアゾフ大隊の司令官で、この地にはウクライナ正規軍の司令官など不在であることが分かる。
アゾフ大隊は、本誌4月18日付No.1150でも触れたように、14年の反露派の武力革命の後に生まれた民兵組織の有力な1つで、内外の白人人種主義者、極右、ユダヤ過激派、ネオナチなど雑多な集団のごた混ぜだった。後にウクライナの軍制に組み入れたと言っても形ばかりで、そこへ米国人の元軍人やCIA要員が指導教官などとして入り込んで戦闘の指揮をとるなど、実質的に米国が直接関与する隠された回路となってきた。
【関連】ウクライナ情勢の理解に不可欠。「アゾフ大隊」と紛争を煽った米国務次官の正体
アゾフ大隊の実態については、岩上安身のIWJが14年当時から詳しく報じてきた(最近の一例は「米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!第2弾~岩上安身によるインタビュー」)。また、アゾフ大隊に限らずウクライナの戦闘組織に3月上旬までだけで4,000人もの米国人が参加していることは朝日電子版の「グローブ」も報じている。
● ウクライナに行ったアメリカの退役軍人たち 彼らに聞いた「誰のために、何のために」
プーチンは、アゾフ大隊を「ネオナチ」と呼んでこの壊滅を狙い定めていたものの、それに限らず米欧のありとあらゆるならず者の軍事集団がウクライナに集まってウクライナ軍を支えている実態とその暴虐性ついては、実は軽視していた。そのため次第に深みに嵌って長期化を余儀なくされたのではないか。
3つには、米国が偵察衛星や電子探知によるロシア軍の動向をキエフ側に伝えて情報面から参戦していることを軽視していた。それなしには黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が簡単に撃沈されることなどあり得ない。
こうして、一見すると戦略的に緻密であるように見えながら、細部に至るとずさん極まりなく、主観的な判断に頼りすぎて事を急いだのがプーチンの失敗の原因ではないか。
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バイデンには終結シナリオがない?
これに対して、バイデン米大統領には最初から終結シナリオはなく、ただ感情に任せて戦争を煽るばかりであるように見える。典型的なのが、3月26日の「プーチンは権力の座に留まるべきではない」という発言で、これには内外から「ロシアの体制転覆(レジーム・チェンジ)を目指しているのか」といった批判が集中した。彼はしどろもどろになりながら「単に個人的な道徳的感情を述べただけだ」と弁解したが、誰にせよ道徳的感情だけで他国の指導者の去就を決めるようなことを言うべきでない。米国内でも、「息子のハンター・バイデンがウクライナのエネルギー企業の役員になって高額の報酬を得たりしてきたので、その利権を侵されてイライラしている」とかの冷ややかな論評がなされた。
これは流石にバイデンの個人的な失言だったとして片付けるとしても、4月25日にオースティン米国防長官がポーランドでの会見で「ウクライナ侵攻のようなことが再びできないようにロシアを弱体化させたい」と語ったのはどうだろうか。米誌『フォリン・アフェアズ』評論員ギデオン・ラックマンは、そ...